最近のコロナウイルス事情

当院では日々の一般診療を行いつつ、新型コロナウイルス感染症(以下COVID-19)への診療・ワクチン接種を行っています。

流行当初からこれまでの、当院からみた仙台市内の小児医療の状況について書いてみたいと思います。

[流行と症状について]

COVID-19流行当初の2020年は、こどもでは発熱、鼻汁、咳などの症状がほとんどでした。こどもは大人より感染しにくく症状も軽微なため、感染してもあまり心配していなかった記憶があります。

その後、大人もワクチン接種が進み、症状が軽くなっていきました。今では大人は3回以上ワクチンを接種していればCOVID-19による呼吸不全のリスクはほぼないとされています。

しかし、オミクロン株が主流となった2022年夏以降、こどもの感染が明らかに増えました。

第7波以降、仙台市内でも熱性けいれん等での救急搬送事例が非常に増えました。小学生で初めて熱性けいれんを起こす例や、病院の救急搬送受け入れ困難事例が増え、当院で救急車を受け入れることもあります。

小児患者の急増に伴い、中等症以上での入院が増えました(酸素が必要な肺炎、脱水や10分以上続くけいれんなど)。小児の病床数は成人より少なく、感染の波が来るとすぐに埋まってしまいます複数回けいれんを起こしても経過観察入院ができないといった事例が実際に起きていました。

当院でも自宅療養中に急性虫垂炎を合併し、陽性者対応の手術室が使用中で搬送困難となった例も経験しました。

市内の3次救急病院の報告では、入院例は9割以上がワクチン未接種です。入院理由は、けいれん肺炎嘔吐下痢による脱水がそれぞれ約30%でした。

2022年冬に入り、低年齢のCOVID-19患者や、2回、3回目の陽性者も増えている印象です。

保育園や家庭内での感染力は相変わらず強い一方で、ワクチンを接種した子も着実に増えており、

接種の有無で陽性者の症状の重さが異なることも感じられるようになりました。

[検査や診療対応について]

当院の一般診察は原則WEB予約制ですが、小児は急変することも多いため、

当日も電話対応で数名診療可能としています。

発熱外来は電話予約をお願いしていますが、

予約がすぐ埋まってしまう、電話が繋がりにくいといった状況が続いています。

診療開始直後よりも、1,2時間経ってからの方が電話が繋がりやすいことがあります。

毎日できるだけ多くの子を診察し、安心につなげたいとスタッフ一同努力しているのですが、

一方で待ち時間が長いといったご指摘もあり、

診療体制維持のためには予約枠や当日予約についてある程度の制限はかけざるを得ない状況です。

対応方法や予約システム等については改善策を検討中です。

ご迷惑をおかけしておりますが、ご理解ご協力をお願い致します。

[ご自宅で検査する場合]

抗原検査キットを薬局等で買えるようになってきましたが、研究用ではなく体外診断用を選んで下さい。また、発熱してすぐの場合はPCRでも検出できずに後日陽性が判明することがあります。

症状出現後、12−24時間以上空けての検査がおすすめです。

[ワクチンについて]

仙台市でも乳幼児や小児に対してのコロナワクチン接種が開始されています。

現在の市内の接種率は、5歳以上は30%程度、4歳未満は20%弱と決して高くありません。

ワクチンについて悩まれている保護者の方は多く、SNSをみていると不安を煽る情報も多く、

そのお気持ちは大変よくわかります。

まずは正しい情報かを確認し、本人やご家族が納得してから接種することをおすすめします。

実際に診療している身としては、ワクチンを接種している子の方が明らかに症状が軽い印象です。

ワクチンを接種していなくても、軽い症状で経過するこどもも多くいます

ただし昨日発表された国立感染症研究所の第二報では、

今年の1〜9月で50名のこどもがCOVID-19により命を落としており、基礎疾患のないこどもが29名亡くなっているのも事実です。

接種対象者であった死亡者のうち、ワクチン未接種者は88%です。

現在、宮城県内でワクチンの副反応での心筋炎や重篤化した小児例は報告がありません

県北でアナフィラキシーが1例ありましたが、回復しています。

50名のこどもの命を無視するのであれば打たなくても良いのかもしれませんが、小児科医としては他の感染症同様、予防し得ることは予防したいと考えています。

こども向けコロナワクチンの情報について、いくつか提示します。

厚労省のパンフレット

新潟県医師会の資料

5−11歳の新型コロナワクチンについて

今わかっている子ども用ワクチンのこと

子供へのワクチンQ&A(やや長いです)

コロナワクチン接種に関するサイト

こびナビ

当院では、COVID-19がこどもにとって

感染力が強く厄介な症状が出る感染症となった

感染すると家族や集団生活への影響が大きい

市内での熱性けいれんや重症例が発生している

市内での副反応による重症例は出ていない

ワクチンにより重症化や死亡は予防しうる

小児でも後遺症を生じることがある

といったことから、希望される方へのワクチン接種を進めています。

接種をご希望の方はWEBでの予約をお願い致します。

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